うつ病の初期症状として、イライラ、募る不安感、やる気が出ない、涙もろい、眠れない、食欲がない、疲れやすい、頭痛・肩こりや便秘・下痢など、身体が不安定になります。うつ病は放っておくと、どんどん症状が悪化していくため、ひどい場合には日常生活を送ることが困難になります。また、統合失調症などの精神疾患へ転換してしまうこともあるため、早い段階で治療を受けることが大切です。
うつ病の治療には1️⃣休息…仕事や家事など追われる生活から一旦離れてゆっくりと過ごせる時間を増やす 2️⃣薬物療法…向精神薬や睡眠薬などの内服 3️⃣精神療法…医師、専門カウンセラーや同じ境遇の人達との対話など、大きく分けてこの3本柱になります。
看護師として患者さん達をみていると、大抵の方は仕事や子育てなど何かに日々追われ、そのうち苦しくなりうつ病を発症するケースが多く目立ちます。そして医師から、まずは休職しましょ、とにかく休みましょうと勧められ自宅で薬を飲みながら3ヶ月ほど休んでいると少しずつ元気を取り戻していきます。
だけど、大事なことはここからです。3️⃣にあげた精神療法が圧倒的に重要で、うつ病は繰り返しやすく60%以上の人が再発すると報告されていて、しかも再発を繰り返す度に再発率が徐々に高くなっていきます。
少し話の論点がずれますが、以前勤めていたクリニックの院長は専門が心臓で、利益を確保する手段として開院と同時に心療内科医としても患者さんをみるようになりました。心療内科医にもマニュアルがあり、医師は患者さんにいくつかの質問を投げます。その答えを元に重症度を把握し、マニュアルに沿って治療を勧めていきます。診察についていると、流れはほぼ同じで、医師が患者さんにかける言葉もほとんどが同じです。医師も、私たちと変わらない普通の人間であり、自分の体験した辛さや苦しみを持って患者さんに対し真摯に治療にあたる人もいれば、残念ながらそうでない人もいます。人にはそれぞれ価値観や優先しなければならない事情があるため仕方のないことだと思っています。
ただ、それを知らず心からの信頼を寄せながら、再発を繰り返して通院する患者さん達を見ると少し心苦しくなります。だから、ここで実際に現場に立つ看護師として心療内科の選び方を少しお伝えできたらと思います。
まずは基本的なことになりますが、専門性の高さと経験値です。これは非常に大切です。今すでに心療内科にかかっている、もしくはかかろうとしているのであれば担当医師に直接尋ねてみてください。そこから見えてくるものがあるはずです。極端な話、優しい言葉をかけることなんて誰でも出来ます。根拠を持って「治療」に専念する医師を見つけることが大切です。そして次に、治療計画です。きっと「個人差があります」と言われてしまうかもしれません。だけど、信頼できる医師はその患者さんに対し具体的に、且つ、丁寧に説明することができます。「大丈夫、数ヶ月休めば少しずつ必ず良くなるから。みなさんそうですから。安心して下さい。」というニュアンスの言葉や同じ薬物療法だけを続ける医師には少し疑問を持っても良いのかもしれません。そして、頻回な検査や必要のない検査を繰り返す医師。もちろん必要な検査もありますし、全てが間違いではありません。だからこそ時々は必要性の確認をして良いと思います。
心の治療をしていくことは、とても難しく時間もかかります。だからこそ、自分の目で信頼のできる医師を見つけて、正しく治療を受けてもらいたいです。