なぜ片方の股関節だけが痛むのか?その原因と対策・予防

股関節とは、太ももの骨と骨盤をつなぐ関節のことを指します。さらに詳しく説明すると、骨盤につながる太ももの骨の先端はボール状に丸く、一方の骨盤側の骨はお皿状になっています。太ももの骨が骨盤のお皿の上をコロコロ転がることで歩く、走る、しゃがむ、あぐらをかくなど様々な方向に足を動かすことが出来るのです。

痛みを訴える患者さんの大半は女性日本人に多くみられます。骨盤の形は男女で異なり、女性の骨盤は出産のため男性の骨盤よりも広く浅く、関節や靭帯の柔軟性が高くなっています。そのぶんだけ歪みが生じやすいです。では、なぜ股関節に痛みが出るのか?その主な原因は股関節の形成不全といわれています。簡単に言うと、骨盤側のお皿が浅く小さく、不完全なまま大人へ成長してしまった状態です。お皿が浅いため太もも側の骨をしっかりと覆い被せることが出来ず、股関節はグラグラな状態にあります。この不安定な股関節に、体重が乗っかることでどうなるかはイメージがつくのではないでしょうか。

そして、老化に伴い股関節を支えている筋肉が衰えることで、さらに股関節への負担が強くなります。それにより股関節の動きを助ける太ももと骨盤の間にある軟骨組織が消失し、骨同士がぶつかり合ってしまうことで痛みが生じます。これを股関節症と言います。ほとんどの場合、左右どちらかの股関節が痛みはじめ、それを追いかけるようにしてもう片方も痛んでいきます。利き手が存在するように、身体には左右差がある為、どちらか一方に負担がかかりやすいことから最初は片方だけに痛みが出てくることが多いです。若いうちは筋肉が発達しているため、ほとんどのケースでは気付かれません。歳を重ね、痛みの出現によって発見されることが多く、痛みは徐々に増していきます。

悪化していく痛みにより、歩行困難や不眠症など日常生活に支障を招いていきます。それに耐えかね手術を選択する患者さんは少なくありません。ただ、この人工股関節へ置換する手術は必ずしも永久的な保証もなければ、痛みが消える保証もありません。実際に手術を後悔する患者さんも普通にいます。

だから、こうなる前にいかに予防しておくかが私達にとってとても重要です。日本人女性はかなりの高リスクだということを理解し、以下の重要なポイントを踏まえて今からしっかりと取り組んでほしいと思います。

  1. 日頃から正しい姿勢を意識。人間の身体には常に重力という重たいものが乗っかっています。それが歪んだ身体の上にとなると、その重みによって歪みが後押しされ股関節に強い負担がかかります。
  2. 体重オーバーにならない。常に股関節には体重の3〜4倍ほどの負荷がかかっているため、体重コントロールはかなり重要。
  3. 骨粗鬆症にならないよう、食生活と太陽光と運動で骨をもろくさせない。股関節も骨で出来ているので、骨自体がもろくなれば、必然的に股関節へのダメージは避けられなくなります。
  4. 股関節を支える筋肉群のストレッチと強化トレーニング。股関節が壊れてしまわないよう、周囲の筋肉達は協同して股関節を支えています。正しい位置へ戻し、正しいストレッチとトレーニングを通して常に股関節が安定して動ける状態にあることが歳をとっていく上で大切になります。

大まかに4つのポイントに分けてお伝えしました。これらに気をつけながら生活をすることは決して簡単ではありません。それでも、努力する方はいます。反対にやらないまま歳を重ね後に後悔しながら生きる方もいます。股関節は人体で最も大きな関節であり、体のコアにあたります。これ無くして穏やかに健康に一生を全うすることは出来ません。

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mayu

Mayu / 整形外科・心臓血管循環器内科看護師 、ヨガインストラクター 、パーソナルトレーナー、整体セラピスト

医療現場のリアルな知識を使って「最期まで自分の力で強く笑顔で生き抜く身体づくり」を指導する教室を藤沢市で運営。

幼少時代、血液の病に罹患し入院。その時お世話になった看護師に強い憧れを抱く。学生時代はアルバイトに明け暮れ、アメリカSD渡米。帰国後、企業へ就職するが看護師への夢が諦めきれず一念発起して看護師へ転身。内科から始まり、小児科、外科、心療内科、泌尿器科、整形外科、循環器内科、あらゆる分野にて網羅的に経験を重む。その一方、趣味で通っていたヨガ教室の講師に声をかけられインストラクターの道へ。養成学校入学した後ヨガインストラクター の資格を取得。2021年から教室をスタートさせる。